農家妻しばさくです
ご覧くださり、ありがとうございます。
あなたは、こんなことありませんか?
「文旦って『貯蔵&熟成』させたものと『木の上で完熟』させたものとは味が違う?」
「食べ比べたらどっちが美味しいんだろう?」
「なぜ文旦はわざわざ年末に収穫&追熟させるのだろう?」
「木の上で完熟させたら、何がいけないんだろう?」

今回の記事では、以下のことがわかります
- 文旦(土佐文旦)は「収穫&熟成」させるのが正解
- 文旦などの「中晩柑」といわれる柑橘類は保存熟成して美味しくなる
- 木の上で完熟させると、実がダメになり木が弱る
この記事を書いている私、しばさくは、家庭菜園歴7年目突入中の、高知県に住む現役農家妻です。
土佐文旦は12月末に収穫して1か月ほど追熟させて食べます。
ずっと「なんでだろう?」って思ってました。
そしてこれまで、この理由やロジックを知りませんでした。
しかし、先日「収穫&熟成」実と「木の上で熟させた」実を食べ比べる機会がありました。
その時の感想と、「収穫&熟成」の理由を体験談交えてご紹介します。
【文旦】「貯蔵&熟成」と「木で完熟」どっちが美味しい?【食べ比べ】
結論から言いますと、「貯蔵&熟成」の方が美味しかったです。
ここからは、画像交えて解説します。
(ピンタレストの画像を使っていますが、私しばさくのアカウントに自分で載せている画像です。)
今回食べ比べる文旦はどちらも、我が家で管理している土地に生えている文旦です。
「収穫&熟成」文旦は、12月末に収穫して、約1か月追熟させたものです。
対して「木で完熟」させたものは訳あって年末に収穫されなかったものです。
どちらも外側の見た目はかわりません。
いたって普通の文旦に見えます。
いざ、皮むき。
外皮はどちらも変わらずな剥き心地です。
房を割ってみました。
ここまで来ると違いが少しあります。
「木で完熟」した方が、少し柔らかい印象です。
薄皮と果肉の間に隙間がある感じ。
対して「収穫&熟成」させたものは、房を割るときも、しっかりしている印象。
薄皮を剥きます
小ネタですが、この薄皮は「じょうのう」というそうです。
薄皮の剥き心地は、「収穫&熟成」の方が向きやすい印象です。
房の背の部分の白いアレが、「木で完熟」は取れにくい。
剥きあがりました。
剥いた果肉は、どちらもぱっと見は変わりません。
実食。
「収穫&熟成」は、果肉がサクサクでジューシー。
「木で完熟」は、果肉が柔らかい。
少しふにゃってる感じがします。
どちらも完食した感想。
「収穫&熟成」の方が美味しかったです。
【文旦】「貯蔵&熟成」の実が美味しく感じる理由
先に言いましたが、食べ比べると「貯蔵&熟成」した文旦の方が美味しく感じました。
それは私の「個人の感想」でしたが、実はロジカルに説明できることが分かりました。
「そのまま食べるには酸っぱすぎるからでしょう?」
そのとおりなのですが、実はそれだけじゃぁありませんでした。
このセクションでは、美味しく感じる理由を3つご紹介します。
「貯蔵&熟成」美味しく感じる理由①追熟で甘くなる
12月に収穫した文旦は1~2か月ほど熟成させることで、甘みが増します。
文旦は柑橘類でいうところの「中晩柑」に属するのですが、この中晩柑は収穫後の保存中に熟成が進みます。
すると酸味が分解されて甘味を感じやすくなるという特徴があるようです。
「貯蔵&熟成」美味しく感じる理由②果肉がサクサク
12月に収穫して熟成させることで、甘味を増やしながらも果肉がサクサクという絶妙な食感が誕生することに気が付きました。
先に書いたように、木で完熟させた文旦は、果肉のつぶつぶ組織が柔らかくて、少し指に力を加えると果汁がビチャっと指を汚す印象がありました。
早めに木から取ることで、果肉のサクサクした食感が残りやすくなるようです。
「貯蔵&熟成」美味しく感じる理由③みずみずしい
12月に収穫&熟成させることで、果肉にみずみずしさが残りやすいです。
「え、木に成らせている方がみずみずしいんじゃないの?」
って思いますよね。
私も食べ比べるまでそうじゃないかと思っていたのですが、実際は違いました。
理由は「す上がり」です。
1月~2月は1年のうちでっもっとも寒い季節。
その寒いときに木に成ったままにしておくと、気温が下がりすぎて文旦の果肉に良くないようです。
寒さで実の水分が飛び、果肉がスカスカになってしまいます。
この「す上がり」は文旦だけじゃなく、ゆず等ほかの柑橘にもよく見られる現象です。
めっちゃ寒くなって、実が痛む前に収穫してしまう方が、果肉のみずみずしさが保たれるんですね。
これらの理由から、土佐文旦を「収穫&熟成」させることが、理にかなっているというのが分かりますね。
「でも、熟成期間中に、文旦は腐ったりしないの?」
文旦のほかにも八朔や甘夏等の中晩柑類は、外皮が分厚いものが多いのですが、この分厚さのおかげで、長期保存・熟成しても腐りにくいといわれています。
【文旦】「木で完熟」させるデメリット【何がダメなの?】
文旦は「収穫&熟成」させる方が美味しくなることはわかりました。
それだけではなく、逆に「木で完熟」させることにはデメリットがあるのです。
「木で完熟」させるデメリット①木が弱る
文旦を12月に収穫せず、ずっと木に成らせたままにすると、弱ります。
ヘタすると、文旦の木そのものが枯れます。
「木で完熟」させるデメリット②「す上がり」する
文旦を12月に収穫せず、ずっと木に成らせたままにすると、1~2月の寒さにあてられて実に「す」が入ります。
こうなると、果肉の水分が飛んでスカスカになったり、果肉の組織がぶよぶよ担って美味しくなくなります。
「木で完熟」させるデメリット③収穫頻度が下がる
文旦を12月に収穫せず、ずっと木に成らせたままにすると、次の年実がならないという現象がおこりやすくなります。
そうなると隔年(1年とび)収穫になってしまいます。
文旦を収穫&熟成させるのは、こんなデメリットという理由もあるようです。
まとめ
文旦は「収穫&熟成」させた方が美味しくなる。
これは食べ比べた個人の感想ではなく、ロジカルな理由がありました。
12月という早めの収穫をすることで木にも実にもよく、熟成させることで甘くなります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。